木賊獅子（とくさじし）

女獅子の柔和な顔立ちとしなやかさ、そして優雅な舞。

阿智村園原の里に江戸時代後期に三河地方より伝わったとされる木賊獅子があります。
その獅子は、この伊那谷に一般的に伝わっている勇壮な獅子とみると大分雰囲気が違います。もともと雌獅子ということもあるでしょうが、その優雅な舞は、雌獅子という獣的なものではなく「女獅子」の柔和な顔立ちと女獅子特有のしなやかさから人間的なやさしさをもちあわせた珍しい獅子です。そして、その「女獅子」が醸し出す優雅な舞とその雰囲気は、人間的血の通った哀愁というか哀調をおびた人の心を動かし、そしてとても気持ちが落ち着き、癒やされ、素晴らしく、正に劇場空間といっても過言ではありません。

• 皆様如何ですか、伝統芸能の新たな楽しみ方として木賊獅子をお座敷で観賞されるというのは･･･。

演目は、芝居風の物語「八百屋お七」「くずの葉」「お染久松」などの演目があり女性的な気持ちを伝え涙を誘われるような切ない珍しい特徴ある物語で、観劇した物語の中に、女獅子から生まれた子が鬼子だった為、親である女獅子が子獅子（人間で言うならば赤ん坊）を捨て去る場面などは特に心を動かされました。

木賊の獅子は、現在阿智村神坂神社に奉納されており、元旦、春、秋には神坂神社にて奉納の舞を披露しております。そして地元の小学生も活動をしている中で園原の里を上げて伝統を継承していこうとしています。継承していく元気の源は、地域の人たちに理解してもらうことであり、一緒に地域へ溶け込んでいきたいという想いが在るようです。８畳間ぐらいのスペースで演目ができｍすのでお座敷で優雅に鑑賞することも可能な獅子舞です。